狂猿を観てきました

ツイッターだと書ききれなそうだったのでこちらに。

 

ネタばれになる可能性大ですので

これから映画を鑑賞する予定がある方は

ここでストップしたほうがいいと思います。

というか何から書いたらいいのかわからないので

ただひたすら書くことになるかと思います。

 

いきなり最後からで

何なんですがエンドロールが流れ終わって

会場が明るくなって

暗い長めの廊下をふらふら歩く。

 

足取りは重いのに

心は躍る不思議な帰り道になりました。

 

私はデスマッチが好きです。

葛西純という人も好きです。

 

大画面で葛西さんを、デスマッチを見られる?それは見るしかない!と

そう思って見に行って

帰り道ふらふらになって帰ってくる。

試合後より疲れました。

 

葛西純という人に魅せられた人たち

狂わされた人たちが語る葛西純

本人の口から語られるデスマッチや葛西純

家族から見た、家族の中の葛西純

デスマッチのカリスマが魅せるデスマッチ。

 

冒頭から流れてくる大葛西コール。休養前の最後の試合から始まります。

まだコロナの影もなくてみんなが元気に葛西コールをしていて

そこでちょっと切なくなりながら始まります。

 

日常の葛西さんは子煩悩なパパでありパーカーの畳み方を直される

気のいいおっちゃんです。お酒が好きであっさりめのうどんを食べたり

してます。笑顔が怖い以外はどこにでもいるおっちゃんです。

 

 

デスマッチのシーンと一緒にいろんな

葛西さんを皆さんが語ります。

全員が葛西純という人に

魅せられて、全員が嫉妬して、全員が憧れる。

試合を見ている私たちとはまた違う熱量、感情がそこにありました。

 

 あの日のバルコニーダイブ。

大画面でのあのダイブ。そして沸き起こる地鳴りのような歓声。

あの歓声あれがなきゃいけない、あれがあるから飛べる。

誰もがキ〇ガイコール、葛西コールをして泣いて笑ったあの日。

 

病院の検査でまだ大丈夫というお墨付きをもらい

いよいよ復帰の話なのかなとワクワクしてきたところで

場が一転しました。

 

 

渡米して試合をという話がコロナの影響で中止になり少しずつ映画の中に影が落ち始めます。

 

 

そして復帰戦を終えたあと

言葉少なにぽつぽつと紡がれた

葛西さんの自分の中のネガティブな感情を表す言葉。「デスマッチED」「プロレスED」モチベーションが上がらないという言葉。

重かった。こんなに強い人でもやっぱりそういう気持ちを持つんだなと

。私たちが見ているリングの上の葛西さんはいつも自信たっぷりだったので

改めて第一線で輝くプロの凄さを感じました。

 私たちが見ているデスマッチファイターの人たちのあの

強さは一朝一夕で築かれたものではないんだなと

じわっときたしますます好きになりました。

 

 

蛍光灯を粉砕し、ガラスボードに突っ込み、血しぶきを上げる。

自ら用意したカミソリボードにぶん投げられる、

肉片が飛び散り、竹串、金串が人に刺さっていく。

大画面いっぱいのデスマッチファイターたちの狂宴は圧巻です。

 

砕ける蛍光灯の破片、ライトの熱さ、

観客の熱狂、画面からそういったものが

突き抜けてきて頭をぶん殴ってくるシーンです。

 

竹田選手のシーンはさすがにおおおおうううえええと

心の中でだいぶ叫びましたが。

 

一歩踏み外したらそこに黒い世界が待っている。

暗がりではいつも手を伸ばしてくる最悪の出来事が起きるかもという想像。

その見極め、そのギリギリをちょっと超えていける葛西さん。

おそらくは超えようとしているんじゃなく超えてしまうんだと思います。

だからこそカリスマでありあの笑顔なんだなあと。

とにかくニコニコしている人でプライベートでお子さんにニコニコしている

時も試合中人の頭に竹串を刺してニコニコしている時も

変わらない笑顔。好きです(笑)

 

 

最後にデスマッチのカリスマは言います。

刺激の足らないやつ、居場所がないやつ

この葛西純の背中についてこい!と。

見せてくれるその背中は傷だらけです。

その幾重にも重なって盛り上がった

傷をじっと見ればいかに壮絶なことをやっているか

わかると思います。

でもその傷がたまらなく愛おしくなります。元気が出ます。

血の通った暖かい傷が目の前いっぱいに広がって終演。

 

 

狂った猿と書いて狂猿。

猿は葛西さん自身。

私たちをデスマッチという鎖でがっちりと葛西さんが繋いでくれる縁・そこからできていく円・血しぶきと蛍光灯やガラスボードの煌めきが魅せる艶・リングの上で

闘うデスマッチファイターたちの炎・リングの上の宴・いろんな

「えん」という言葉がこの映画に詰まってます。

 

狂った猿。そのデスマッチのカリスマはちょっと怖めの歯の無い笑顔で私たちに

言うでしょう。

この日常で生きるなら、やりたいことやれ

「狂え」と。